前回の『就活解禁、何から始めればいい?』という記事では、全体的なスケジュールの確認と、就職活動の一般的なステップと、それぞれのステップに対してどの様に計画を立てればよいか、という点について解説しました。今回は企業/業界研究の過程で誰もが参加するであろう「会社説明会」について、ポイントを解説していこうと思います。 会社説明会の種類と位置付け 会社説明会は、その名の通り、会社が学生向けに自社や業界に対して魅力を感じてもらう目的で開催するイベントです。会社側から限られた時間の中で自社やその仕事の魅力を手っ取り早く教えてもらえるので、これも有用な情報ソースの一つです。企業としての一押しのポイントを教えてくれるわけですから、そこにその会社の魅力が最大限に詰まっているはずです。会社説明会には色々な形態で開催されることがあります。 合同説明会:就活情報サイトなどが主催し、大きな会場に数多くの企業がブースを構えて展覧会形式で行われる説明会。合同説明会自体へのエントリーが必要である場合もあるが、個社の説明を聞く分にはエントリー不要。企業側の認知度を高める事が目的。 個社説明会:企業単体で本社などを使って開催する一般的な概要紹介がメインの説明会。事前エントリーが必要。企業を認知している学生に対して、大まかな全体概要などを知ってもらう事が目的。 テーマ型の説明会:「座談会」、「インタビューセミナー」「部門別説明会」「職種別説明会」等、特定のテーマに沿って開催される企業説明会。一般的に説明を聞くのに事前エントリーが必要で、抽選形式の場合もある。ターゲットとなる学生層に対してより深く会社を知ってもらい、学生の志望度を高める事が目的。 一般的に、初期段階で開催されるのは、合同説明会と個社説明会です。まずこれはできるだけ広い層の学生に会社名や会社のことを知ってもらう、もしくは企業名を認知している学生に対して大まかな全体概要などの情報を提供する事を目的にしており、基本的にはどの学生でも参加が可能です。そしてある程度、大体の就活生の企業/業界の大まかな理解が進んできた段階で、少し遅れてテーマ型の説明会が各社で開催されます。これらは企業側からすれば、それまでの説明会での大まかな説明から更に踏み込んで、よりポイントを絞ることで、就活生により深い理解をしてもらう段階になります。これは志望者の多い人気企業になってくると、事前エントリー→抽選形式としてある程度ターゲットとして絞られた学生層を対象にして開催されるケースが増えてきます(故に企業の「学歴フィルター」が段々と露骨になり始めるのもこの頃です)。テーマ型の説明会は、より参加する学生の人数も合同説明会に比べて少なくなる為、社員との距離も近く、企業側からの説明を聞くだけではなく学生側から質問をすることも容易になってきますので、これを通じて志望度を高めて学生の心をグリップしていくのが企業の狙いになります。 上記の様に一般的に企業はそのタイミングの学生側の理解度やその段階に合わせて説明会を開催し、志望度を高めていく様に採用活動のスケジュールを組んでいます。 会社説明会は会社のCM。全て鵜呑みにするのはNG。但し、「魅力を感じてもらう目的で」というのがポイントで、言わずもがなですが、どこまで行っても会社説明会というのは、多くの優秀な学生を惹きつけたい企業にとっては宣伝活動の一環という事になるので、要はその会社のCMだと思って聞いて下さい。宣伝が目的になっている以上は、会社にとってネガティブな要素は発信しないのが大前提となってきます。同じ事を表現するにも、物は言いようでどうにでも言えてしまう部分もあり、「裁量権がある」「大きな仕事を任せてもらう」という言葉の裏には、言い換えれば単に「人が足りない」という側面が隠れている可能性があったりと、言葉尻だけで実際に働いてみた時に感じる印象とは実態が異なる可能性がある点に要注意です。決して何もかも疑った方がいいと申し上げるつもりはありませんが、企業が説明会やインターンで言っていた内容だけを以て魅力を感じているという状態というのはかなりリスキーであり、ミスマッチに繋がるリスクがあります。特に就活において初期段階である会社説明会の段階では、学生の皆さんの判断基準や尺度も定まっていないことが多く、そもそも人間ですから色々と聞こえの良い言葉を並べられると多少は靡(なび)いてしまうものだと思います。そこで重要になるのは、良い事ばかりを吹き込まれて魅力を感じるのは当たり前だ、と自分に対して一歩引いた視点を持つことです。視野が狭まる様なフィルターは出来る限り排除し、地に足着けた状態で自分にマッチする企業選びをする為にも、説明会で聞いたことを文字面から全て鵜呑みにしない様に注意された方がいいかと思います。 事前にチェックリストを作る説明会の内容を鵜呑みにしない、受け身にならない、と言っても、意識だけでそれを実行するのはなかなか難しいのも事実です。そこで私が就活当時に会社説明会で欠かさずやっていた対策があります。それは説明会前に「事前に」チェックリストを作る、という事です。具体的に何をやるかというと、当日メモ用に使うノート等に、その説明会を通じて自分が知りたい、知っておかなければならない事を事前に整理しておきます。謂わば、その説明会という時間の中での自分に対してノルマを課す様なイメージです。自分の企業/業界研究においてその企業/業界について理解しておかなければならないと思う事の中で、まだ自分が理解できておらずその日に知りたいと思っている事(全部を知るのには時間がないので、ポイントを絞る事が大事です)をメモしておく。たったそれだけなのですが、これをやるのとやらないのでは、全く収穫度が変わってきます。何故ならば、説明会で沢山の情報が入ってきた時に、自分が本来その説明会に参加している目的を見失わないからです。あとは説明会という場の中で最大限のノルマを達成する事を念頭に置き、知りたい内容に対して理解をどんどん深めていく。 説明会の中で新たな疑問が出てくると思いますので、それも思い付いた時にメモしておき、(もしその日に聞ける機会があればベストですが、それが難しい場合は)次回のノルマとして持ち越す、といった具合に研究を続けていけば、より確実に企業/業界研究を自分の思い描いた方向に前に進める事ができます。自分の中で分からなかった事が確実に解消されていく感覚というのは、非常に心地良いですし、自分が何を聞きたいのかもわかっていない状態で自分の中に情報を流し込むよりはよっぽど効果的と言えます。以上の通り、説明会というのは「事前準備が命」といっても過言ではありません。 ご参考までに、事前準備メモのサンプルを以下に挙げておきます。 ○○株式会社「○○セミナー」 当日はこういったチェックリストを見ながら話を聞く事で、自分がその説明会で何を学ばなければいけないのか、そして何を学べたのか/学べていないのかという事が分かる様になります。もし全体説明で分からなければ、説明会終了後に社員のところに行って可能であれば質問をしても良いと思います。(何も聞けなかった、で終わりにするのではなく、自分から質問しに行ってでもノルマを達成しようとする意識が無いと結果的には時間を無駄にするのと同じですし、就活が前に進めません) ググれば分かる情報 vs 説明会での"生"の情報当方の就活当時、説明会中に血眼になって一言一句をメモを取ろうとしている人がたまにいました。一生懸命に内容をインプットしようという意識は単純にスゴイと思うのですが、説明会の場で設立年数や従業員数まで熱心にメモする必要は果たしてあるのか?という疑問もありました。概要情報等は、ググったり会社HPを見ればすぐに出てくる情報です。こういった、わざわざ説明会に来なくても分かる情報というのはわざわざ自ら足を運んで参加する説明会という機会を使って得るべき内容にはならないはずで、それを手を動かしてメモする時間は私にとっては無駄と感じていました(おそらく、後で見直した時にもそういったメモはどうせ見ないです)。それよりもむしろ、自分が得た"一次情報"、例えば社員の生の仕事の話であったり、会社の概要情報でも社員から見た他社と比較した情報であったり、会社の押しのポイントであったり、説明会を聞いてこれがスゴイと自分が実際に感じた内容であったり、逆に違和感を感じた内容であったり、そういった説明会での"生"の情報について書き記す方が重要と思いますし、そういった情報が得られる事こそ、説明会という"リアルの場"に足を運ぶ価値であると思います。 まとめ■ 会社説明会は合同説明会、個社説明会、テーマ型説明会の3種類。それぞれ趣旨や目的が異なる。
■ 説明会は企業のCMと同じ、良い事しか言わない。全て鵜呑みにしない。 ■ 鵜呑みにしないために、事前にチェックリストを作り、説明会当日の自分に"ノルマ"を与える。 ■ ググれば分かる情報はメモ不要。説明会での"生"の情報をメモする。
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