ご存知の通り、日本では新卒採用が特に大企業においては足並みを揃えて実施します(ただ最近は通年採用の制度を採用する企業も増えてきたみたいですね)。これが良いのか悪いのかの議論はあるものの、いずれにしても皆さんが日系企業の門を叩こうと思うと、ある程度このスケジュールに合わせて活動せざるを得ないことは明らかです。「就職活動解禁」を皮切りに、新卒で就職を目指す全国の学生が一斉に就職活動をスタートするわけですが、実際に解禁とは言うものの、調べたらやる事が多すぎて、何をどこから手を付けていいのやら・・・という学生さんは後を絶えません。結論から言ってしまうと、これに対する明確な答えは無い、と言いますか、答えは皆さんが自分で導く事しかできない、むしろ他人から聞いた答えを鵜呑みにする姿勢が就活では最もNGなのですが、ここでは、皆さんが自分自信の就職活動全体のスケジュールや戦略を練る上でのヒントになり得る様な話を共有できればと思います。 まずは大まかなスケジュール感を理解しておく2021年卒を例に見てみると、大まかなスケジュール感としては以下カレンダーの通りです。(図はマイナビさんのページからお借りしました) イベントの順序から言いますと、(インターンシップ→)エントリー→企業説明会→ES・筆記試験・面接という順番になります。その他に自己作業として、自己分析、企業/業界分析、OB/OG訪問などが一般的に入ってきます。 逆算して計画を立てるではそれらを、何からどういった順番で、それぞれ具体的に何をどの程度やればいいの?という点については、これは皆さん自身のそれぞれの「戦略」や「計画」次第になってくるかと思います。何も分からなくとも、どの段階で何が分かる様になっているべきか、という点から逆算する事で、自分で計画を立てられるはずです。 「どの段階で何が分かる様になっているべきかすら分からない場合はどうすればいいんだ!という話ですが、これはその人次第で答えが変わってきますし、どこにそれぞれの活動のゴールや目的を設定するか、という点次第になってきます。就活準備の一旦の目標は志望先の企業の選考に対する準備ができている状態にすることですので、たとえば自己分析と言っても哲学的に"自分とは?"という事を研究する事を求められているわけではありませんし、企業/業界研究と言っても、本を出版するわけではないのですから、その企業や業界について誰よりも詳しくなる事を求められているわけでもありません。当然趣味の範囲でそのレベルまで極めるという事は自由にやって頂いて構わないのですが、皆さんも学生生活で色々やるべき事、やりたい事が沢山あり忙しいはずですね、ここでは皆さんにそこまでの豊富な時間は無い前提で話を進めていきます(なお、当方自身の就活の際は、留学から帰国してそのまま計画留年で大学5年生をやりながら、週5日アルバイト、週5日で学校の授業をこなしつつでしたし、沢山友人と遊びたいし飲み会も行きたい、というタイプでしたので、純粋にやる事が無く余っている時間はほぼありませんでした・・・)。ではどの様に計画を立てるべきか?という点ですが、自己分析にしても、企業/業界研究にしても、皆さん自身が思う選考準備の計画の中における位置づけと目的を明確にするのがまず最初にやるべき事になるかと思います。 「自己分析」「企業/業界研究」のゴールとは?そもそも自己分析や企業/業界研究を何故しなければいけないのか?これは見落としている方が大変多いのでは?と感じます。「とりあえずやるべき事」として認識されているものの、それらを何故やるのか、その目的は何か、という点に関しては見過ごされがちです。私個人のイメージですが、これらは先に「志望動機とはなにか」の記事で述べた、志望動機を構成する各要素を作り上げる為の過程だと考えています。改めて復習しますが、志望動機には以下3つの要素があるとお伝えしました。 ①「あなた」を説明する ここで言う『①「あなた」を説明する』は自己分析に、『②「企業(志望先)」を説明する』は企業/業界研究によって、形作られていきます。最後の『③「あなた」と「企業(志望先)」を繋ぐ』というのは、自己分析と企業/業界研究の過程で二つが繋がったポイントがそれになります。つまり、自己分析や企業/業界分析というのは、志望動機を完成させるための手段であるという事ですね。これを逆に言うと、自己分析や企業/業界研究において、皆さんが最終的に志望動機として説明するにあたり関係の無い部分については必ずしも研究する必要は無いという事です。ここに、自己分析や企業/業界研究でやるべきを明確にするヒントがあります。 自己分析では、皆さんが「あなた」自身について説明するのに必要のない部分、要は皆さんの物差しや基準で重視していない側面については改めて考える必要はありません。ここでは自分についての哲学書を書くのが目的はないからです。自分が過去の人生でどのような事を経験し、その結果、現在どのような価値観や考え方などの個性を持っており、将来的にはこういった形で活かしたい、またはこういった事を志向している、という事が論理的に相手に対して説明ができれば、それでOKなのです。たまに一度自己分析を始めた結果、「自分探し」の旅からなかなか帰って来れなくなる学生さんがいらっしゃいますが(笑)、これは「自己分析」のゴールを定めていないことが明らかに原因と言えるかと思います。 企業/業界研究でも同様です。たまに、学生さんの中で熱心にIR資料(投資家向け資料)を熱心に研究されている方がいます。決して、こういった努力を否定するわけではないのですが、とはいえIR資料から何を読み取ろうとしているのかを自分で理解して研究している方は非常に少ない印象を受けています。確かにIR資料も企業研究の上では、企業の現状や今後の方向性について示唆を与えてくれるとても参考になる資料です。が、就活準備においての企業分析においては、それは最終的には志望動機に繋がる様に企業理解を助ける形で研究を進めていく必要があります。知る事自体が目的ではなく、中身を読み取った上で、自分の就活に還元する事を意識する必要があります。それによって、皆さんの限られた時間を無駄にしない就活が可能になると思います。 ちなみに投資家資料というのは、企業価値向上を目指す株式会社として、企業の現状や、今後いかに株主に利益を還元していくかという事を株主に対して説明する目的で作られた資料ですので、企業の現状や周辺環境、今後の戦略については必ず触れられます。業界内競争の激しい業界では競合との差別化戦略についても触れられているはずです。採用HPなどで公開されている資料はかなり企業にとって見栄えの良い情報を並べられているのが殆どですが、株主に対してはデータや数字などの明確な根拠を以てより現実的な方向性を示す必要がありますので、脚色された「お花畑」的な話は少ないはずですね。そういった点ではIR資料は参考になる資料です。IR資料はそういった性質の資料である事を理解した上で、そこから何を読み取りたいのかを意識した上で読むのと、身近な先輩から読んだ方がいいとアドバイスを貰ったから「何となく」読むのとでは、理解に雲泥の差が生まれる事になります。 最後の方は少し話が逸れましたが、自己分析にしても、企業/業界研究にしても、OB訪問にしても、説明会にしても、何から始めれてそれぞれどの程度やれば/行けばよいか?という点については、他の人の経験やアドバイスを参考にする事も大事ですが、本来答えはその人自身の中にあるものだと思います。自分自身の就職活動においてその目的を自覚している状態こそ、自分の方向性を見失わない為のキーであり、結果的には自信を積み重ねる事に繋がり、後悔しない就活に繋がるのではないでしょうか。 まとめ■ 何から始めて、それぞれどの程度までやるのか?はその人が設定するゴールや目的次第。
■ 自己分析と企業/業界研究の目的・位置づけ(SUの個人見解) ・自己分析…志望動機の要素①【「あなた」を説明する】を形作るための作業 ・企業/業界分析…志望動機の要素②【企業(志望先)を説明する】を形作るための作業 ■ 自己分析や企業/業界研究は、知る事が目的ではない。自分のゴールや目的を意識して進める。 ■ 自分自身で各活動の目的を自覚してこそ、自信に繋がり、後悔しない就活に繋がる。 以降、企業/業界研究の手段としての「会社説明会」や「OB/OG訪問」の意義やポイントについて深く解説していこうと思います。
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