就活のエントリーシートで当たり前の様に書かされる「志望動機」。
その意味自体は、その名の通り、選考を受ける学生がある企業を志望する動機という事になりますが、多くの学生さんのESを添削させて頂いていると、【そもそも何を書けばいいのか分からない】【書いてみたけど、内容がイマイチ腑に落ちないと感じてしまう】【自信満々に書いたつもりが、実は全然書けていなかった】というケースが結構多いです。 そういったケースの原因としてよくあるのが、志望動機を聞かれた時に説明しなければいけない要素が欠けているというパターンです。 志望動機には、これが欠けては志望動機になり得ない、という不可欠要素が3つあります。まずはその3つの要素をご紹介します。 ①「あなた」を説明する ②「企業(志望先)」を説明する ③「あなた」と「企業(志望先)」を繋ぐ 具体的にこれらの要素を取り入れた書き方は後ほど紹介していきますが、まずは具体例を交えながら、これらの要素が欠けるとどうNGなのかを見ていただき、これらが欠けると「志望動機」として完全には成立しないという事を理解していただければと思います。 ①「あなた」を説明する 例1:産業機械メーカー志望 私が貴社を志望する理由は、裁量権が若くして与えられているからです。世界中で証明された実績を持つ営業のノウハウを学び、実践的にチャレンジできる環境と、会社として若手の裁量権を奨励していることに魅力を感じます。 上の例文を読んで、みなさんどう思われますでしょうか。文字通り「志望動機」にはなっていると思いますが、私から見るとNGです。その理由は、これは結局相手(企業)の話しかしておらず、「あなた」の価値観が見えないからです。あくまで「志望動機」を聞いているのであって、「あなた」の話をしているわけではないという事は事実ですが、最終的には企業はESであれ面接であれ、選考を通じて「あなた」の事を知ろうとしています。ESの志望動機でも当然、「あなた」が企業にどういう背景で惹かれたのか、という点が他の学生と差別化する要素になると思いますので、「あなた」の価値観を盛り込むことが必要になってきます。逆に「あなた」の話が無い志望動機は、いわば会社紹介になってしまいます。裁量権があるとか、グローバルに事業展開をしているとか、事業規模が大きい、等々。それを読んで、会社側に「あなた」の印象が残るはずがありません。もし文字数が極端に限られている場合は、「あなた」の話を書く余裕が無いかもしれませんが、その場合はガクチカなど他の設問の中で補ったり、面接で口頭で補うなどすればOKかと思います。 ②「企業(志望先)」を説明する 例2:電機メーカー志望 私は貴社を志望する理由は、日本の技術力を発信する事によってプレゼンスを向上させたいと考えているからです。私は大学時代、アメリカに留学し日本の技術が様々な場面で活かされている事を実感し、将来は海外の方に日本の技術を知ってもらう仕事に就きたいと考えました。貴社に入社した暁には、海外営業として海外の最前線で貴社製品を販売していきたいと考えております。 →上の例を読んで、みなさんはどういう印象をお持ちでしょうか?これは「志望動機」になっている様で、そうなっていない例で、NGです。これがNGである理由は、①よりは分かりやすいかもしれませんが、これは①とは逆で「あなた」の話しかしていない例です。「あなた」の事はよく分かったけど、そんな「あなた」が志望しているのはどんな企業なのか?という所ですね。当然企業からすれば、自社の話ですので改めて言われなくてもよく分かっているのは当然ですが、ポイントは「あなた」が「企業(志望先)」についてどう理解しているのか、という点です。どんな業界で、何をしている企業で、どんな歴史があり、どの様に収益を得ているのか、業界での立ち位置はどうか、その会社はどんなカラーか、等。ここで、「あなた」の「企業(志望先)」に対する理解度が分かります。そもそもここが間違っていれば、企業研究が足りないという事になりますが、何よりも企業の事を誤解して入社すると、入社後にアンマッチが生じ、会社を辞めてしまう事になりかねないので、企業側からしても、学生側からしてもリスクである、という事です。 ③「あなた」と「企業(志望先)」を繋ぐ 例3:事務機器メーカー志望 私が貴社を志望する理由は、多種多様な事業分野に積極的に挑戦している貴社の姿勢が魅力的に感じたからです。貴社は高い技術力を生かして印刷機器のみならずカメラ、医療機器、化粧品など、様々な事業展開をされており、今後も既存の枠に捉われず新規事業に注力していくと伺いました。私は学生時代に体育会サッカー部に所属し、チームワークを重視し取り組んだ結果、全国大会で優勝を果たす事ができました。その経験から、働く上ではチーム一体となって挑戦する事ができる環境を重視しており、貴社にはその環境があると考えました。 →少々極端な例ではありますが、こちらもNGです。これは「あなた」と「企業(志望先)」は説明しているものの、その二つ繋ぐものが無い例です。この例では、「あなた」はチームで挑戦する事を重視しているとしながらも、肝心な「企業(志望先)」に関しての記載の中で、チームで挑戦、という要素が全く書かれていないため、「あなた」がその「企業(志望先)」を志望しているイメージができない、という事になります。あくまで、「あなた」の志向する延長線上に「企業(志望先)」があるという事をイメージさせるために、この二つを繋ぐ要素は必ず必要になります。 以上が、志望動機に書けてはならない3つの要素になります。 振り返りですが、以下の通りです。 ①「あなた」を説明する ②「企業(志望先)」を説明する ③「あなた」と「企業(志望先)」を繋ぐ <後編>では、その3つの要素の使い方=その3つを具体的にどのように志望動機を組み立てていけばよいか?を整理していきます。 以上です。 SU
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