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ESは結局「読み手目線」が一番大事という話<後編>

5/18/2020

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「伝える」と「伝わる」は違う

前回の記事で「ESはコミュニケーションである」という話をしましたが、これもコミュニケーション全般に通じる話ではありますが、ESを書く上でもう一つ重要なポイントが、「伝える」と「伝わる」は違うという事です。実は前段でもヒントが出ていました。「しっかりとその意図を汲み取り、それに適切に且つ効果的に返す」。この、「適切に」というのがそれです。あまりにもさりげなく、当たり前の様な事にも思えますが、これが意外に難しく、「読み手目線」のベースとなっている考え方です。

どういう事かと言いますと、あなたが相手(企業)に伝えたい事を、最もふさわしい(とあなたが考える)文章構成やエピソード、言葉、表現を使って相手(企業)に伝える、という事です。言わずもがな、これはESに限らず日々のあらゆるコミュニケーションでも大事です。世の中ではこれが出来ていない事であらゆる場面で様々な誤解やミスリードが生まれ、問題が起きています。最も難しいのがtwitterやfacebookなどのSNSで、これは不特定多数の人に対して発信するメディアであるだけに、あなたの「伝える」内容が、あなたの意図しない形を含む様々形で「伝わる」という事が起こり得ます。伝えたいメッセージの「方向性」は何となく合っているけれどもメッセージの「強さ」「度合」が伝わらないというくらいであればよいのですが、伝わる「方向性」が大きくズれた時が厄介であり、単語やちょっとした言い回し、文章の書き方に加え、読み手側のものの見方や考え方によって大きな誤解や、意図しない印象を与えてしまう事に繋がります。ESでも同じことが言えまして、書き手側が「伝えた」と思っている内容が、実際に読み手に「伝わった」内容と一致しない可能性がある事には十分注意すべきです。いくつか例を交えながら説明していきます。

「伝え方」失敗例①:表現内容に客観性が欠けている

先ほどのガクチカの設問の具体例で、挑戦したエピソードを聞いている設問がありましたが、「挑戦」のエピソードを求められているのにも関わらず、そもそもの「挑戦」の内容のハードルが高さが読み手にとって分かるように十分に表現されていない場合、読み手からすれば「挑戦、という割にはあまり苦労していないのではないか?」という印象になってしまいます。書き手である皆さんにとっては自分自身が経験を表現したつもりになっていても、書かれた文面から、他人である読み手が自分自身の感覚を通して感じ取る印象は違ってくるのです。だからこそ他人から見ても「これは大きな挑戦」だ、という事が十分に伝わる様に説明をしなければいけません。

ここでどういった点を意識すべきかと言うと、客観的な形で表現するという事です。数字や実績などの形あるもの、もしくは別のものとの比較した補足を加えるなどです。例えば「頑張る」は完全に主観的な表現です。どれだけ何かを頑張ったと言っても、どれくらい?というのが読み手に取って分からないと意味がありませんし、「〇〇くらい頑張った」と言っても、その「〇〇」自体が曖昧だったり、話の大きさが伝わらないものになっていると、これもまた伝わりません。


「伝え方」失敗例②:使う言葉を間違えている

また、別の例として、以前実際に添削した学生さんのESで、自らの強みを表現する時に「相手に合わせる」という意味合いで「相手に迎合する」という言葉を使っている方がいました。ご存知かもしれませんが、一般的に「迎合」という言葉は、基本的に自らの芯が無く相手に追従する事を揶揄する様なネガティブなニュアンスで使用される事が多い言葉です。強みを語っているはずの文章で「迎合」というネガティブな意味合いが含まれた言葉が使われているのを見た時に、読み手は間違いなく混乱するはずです。自らの意図するニュアンスを言葉に乗せて「伝える」ために的確な言葉を使う事も意識する必要があります。

上に挙げたような単語自体のニュアンスに加えて、そもそも日本語として間違っている、もしくは不完全であるために、意味が分からない、もしくは誤解を与えかねないという例も意外に多いです。実際にあった例をいくつか挙げます。
「この経験から、国内外を舞台にして人間性が試されるという仕事に興味を持ちました」 ​
​… これは日本語として成立していない為、何を言っているのか分からない例です。
「以上の経験から私が思ったのは、やはり人と人とのつながりを大事にして物事に真摯に取り組まないといけないのだと強く思いました。」
…これは「思ったのは、~思いました」という日本語だったり、「人と人のつながりを大事にして」と「真摯に」というほぼ重複した意味を持つ言葉を使っているクドさに問題がある例です。

以上の様に、使う言葉や日本語を間違えるとそもそもの「日本語力」という点で見くびられてしまうので、勿体ないですね。自分が「伝えた」(書いた)事が自分の意図した通りの意味やニュアンスで「伝わる」のか?という点を意識すれば避けられるはずで、自分の思うままに勢いで書き進めると疎かになりがちなポイントですので、ご注意頂ければと思います。

(読み手が)理解しやすい+(読み手の)印象に残る文章

前段では「しっかりとその意図を汲み取り、それに適切に且つ効果的に返す」の、「適切に」というポイントの話をしましたが、次は「効果的に」というポイントにフォーカスしたいと思います。私がここで言っている「効果的」な伝え方とはどういう意味かと言いますと、それによって①読み手がよりスムーズに文章を理解できる、②読み手の印象により強く残る、という意味です。それぞれ解説していきます。

①読み手がよりスムーズに文章を理解できる:明快なロジック を作り 接続詞 で明示する

読み手がスムーズに文章を理解するうえで必ず用意しなければいけないものが、明快なロジックです。ロジックの中でも最も重要なのが、因果関係(原因ー結果)です。具体的には、物事の理由や目的、背景、きっかけの部分ですね。読み手はこれらが分からない時に、出来事の筋道が理解できません。結果として「文章に論理性がない」「言動に脈略が無い」「行き当たりばったり」「目標意識が浅い」と判断されてしまいます。これを作る上で皆さんにお勧めしたいのが、ロジックツリーです。実際に私自身の就活時代に書いていたガクチカの例を使って解説していきます。
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上の図を見て頂ければ凡そイメージが湧くと思いますが、要は因果関係を「→」で結んで可視化することで、より全体の論理構造がクリアになってきます。これはESを作る時の文章の「骨格」となるもので、ロジックツリーを作る事によって、論理展開に必要な部分と不要な部分、或いは足りていない部分を見える化する事ができるのです。何も考えずに白紙状態から文章を書き始めると、ついつい無駄な文章や説明不足が生じがちですが、まずロジックツリーで骨格を作り、そこに必要に応じて肉付け・整理していくことで、読み手にとって論理関係が分かりやすい文章となるわけです。ロジックツリーはなにも上の図の様にキレイな表にしなくとも全く問題ありません。私自身の就職活動当時も白紙に手書きで書いていきました。(こういったブレインストーミングに近い作業は、PCやタブレット端末ではなくノートやメモ用紙など、紙に書きながら行うのがおススメです。理由は、電子端末で行うと、余計に時間がかかってしまうのと、フォーマットや構成などが使用するソフトやアプリケーションによって余計な制約が生じてしまう為です)

そしてロジック準備OKであれば、実際に書き出していく作業ですが、その際に気を付けて頂きたいのが、接続詞をしっかり使うという事です。ご存知とは思いますが、接続詞とは例えば、「そして」「したがって」「何故なら」「そこで」「しかし」など文と文の区切れ目に挟む文の要素です。今までのES添削で接続詞があまり無い文章を数多く見てきましたが、そういったESに対して一概に言えるのは、非常に読みづらく、ストレスフルです。実は接続詞には読み手が文を読み進める上で読むという行為を補助するという非常に重要な役割があります。
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接続詞は、それを見れば読み手は次にどのような文が来るのかを事前に把握できるようにするものです。言わば標識に近いかもしれませんね。以下に接続詞の定番例を並べます。
"しかし" →前に述べた事と反対(逆説)の内容が次に来ることが分かる。
"ただし" →一部逆説や条件設定などが次に来ることが分かる。
"したがって" "故に" →前に述べた事を理由・根拠とする結果が次に来ることが分かる。

"そこで" →そこまでの内容を踏まえて次に進む様な内容を次に示すことが分かる。
"また" →物事を並列する、あるいは補足・追加する様な内容が次に来ることが分かる。

"例えば" →例を次に示すことが分かる。
"つまり" →要約を次に示すことが分かる。
"まず" →最初の言動を示す内容が次に来ることが分かる。
読み手は文章を読む際に、接続詞から適宜次に来る文章の方向性をイメージしながら頭の中に実際の文章の内容を入れていきます。故に、接続詞が無い文章を読むというのは、どこに向かうのか分からない道を歩いていく様なもので、読み手には「分からない」というストレスや、文章内容から自分で論理展開を整理して頭の中で補わなければならない「しんどさ」が伴うのです。もしあなたがESを読む企業側の立場であれば、そんな文章を見たらどう思うでしょうか?明らかに読む気を失くすはずです。そういった意味で、接続詞を要所要所で挟んであげることは非常に重要なのです。

②読み手の印象により強く残る:「あなた」にしか書けない具体的なエピソード(臨場感!)

二つ目のポイントはより読み手の印象に残る文を書く、というポイントです。企業が皆さんのESをしっかり読んでいるかどうかはまた別問題として、少なくとも数多くのESをさばかなければいけない企業にとって、印象に残らない文章は読んでいて退屈ですし、すぐに「はい、次」となります。非常に勿体ない話ですね。

そうならない為に、読み手の興味を惹き、彼らの印象に残す為に欠かせないのは、「あなた」にしか書けない具体的なエピソードです。「あなた」のストーリー、と言い換えてもいいかもしれません。私はよくこれを言う時に「臨場感」という言葉をよく使いますが、まさに「あなた」が具体的にどの様な苦労や挫折を経て取り組んでいったか、という所がありありと手に取るように分かる様な文章こそが、読み手の印象に強く残るものです。例えば「社会貢献をする」「途上国の発展に貢献する」「人のためになる」等々はいずれも抽象的な表現です。当然ながら具体的な事柄を抽象的な表現で総括する事は大事ですが、そもそもの中身である具体的な事柄が欠けていては、説得力も臨場感もありません。どこかの総理大臣や校長先生のスピーチが退屈に聞こえるのと同じです。"A vision needs to be visible"(ビジョンは「見える」ものでなければならない)です。ちなみにこれは誰かの格言ではなく、今思い付いたので書いただけです(笑)。

具体的なエピソード、と言っても、意外に色々と書き始めてみると結構難しいものです。ガクチカなんかは人によっては、具体的と言われても意外に書けない、、、という方が結構います。ただ、(志望動機であれば)もし本当にあなたが強くその会社を志望しているのであれば、もしく(ガクチカであれば)もし本当に苦労して取り組んだ事であれば、何かしら書ける様な具体的なポイントが必ずあるはずです。具体的にするためのポイントを二つ、以下に挙げてみます。

​(a) 定量的に記載する(measurable)
 →これは至ってシンプルで、数字(例:〇〇万円の売上を達成、〇〇カ国を訪問、TOEIC〇〇点、顧客満足度〇〇%向上、〇〇時間の練習、出席率が〇割以下、団体メンバーの〇分の1が脱退 等)や出来事(例:〇〇大会に出場、〇〇賞を受賞、MVPに選出、〇〇記事に掲載 等)といった誰が見ても分かる客観的な=定量的な表現を使うという事です。

(b) 細かいレベルに掘り下げる(break down)
 →既に前段で説明した「ロジックツリー」がここで使えます。ロジックツリーの各項目をさらに細かい単位に掘り下げていくという作業です。そうすると段々と細かく、具体的な目標になっていくはずです。以下ご参考までに、「グローバル人材になる」という目標から掘り下げたロジックツリーの図を例として作ってみました。下に行けば行くほど、内容がより具体的になっているのがお分かり頂けると思います。
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「グローバル人材になる」のロジックツリーの例
具体的であればあるほど、読み手にとっては、皆さんの取り組みの内容(実際に皆さんが何をしたのか)がより可視的にイメージできるようになります。この様に、頭の中で映像が再生されるような感覚、これがまさに「臨場感」です。

ここまで、前編・後編の2回に分けてESを書く上での重要なポイントについて述べてきました。
以下にその内容を整理します。

(1) ESは一つのコミュニケーションである →設問者の意図を汲み取って答える
(2)「伝える」と「伝わる」は違う →適切な伝え方をする(客観的な表現+的確な言葉選び)
(3) (読み手が)理解しやすい+(読み手の)印象に残る文章 →効果的に伝える(明快なロジック/接続詞+臨場感/具体的なエピソード)

いずれのポイントでも、常に「読み手目線」がキーになっている事がご理解頂けたでしょうか。ESは、結局は読み手がどう受け止めるかですので、結局はそれを書く上のポイントも「読み手」目線に集約されるわけですね。皆さんがESを作る上で、幾ばくか参考になれば幸いです。

SU
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    SU(スー)
    関西生まれ。都内私立大卒。大学時代に留学経験あり。
    2014年に某商社入社。
    ​現在海外駐在中。

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